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by g999er

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'82年東京生まれ早大卒。小心者の見栄っ張り。臆病者の命知らず。
'04年夏、カンボジアにて完全無防備、スコップのみを使用し地雷除去を敢行。
'05年はアフガニスタンにてアルカイダとニアピン。'06年、軍艦島上陸。

アジア・中東累計約30カ国程訪問。忌野清志郎のライブ主催などイベント企画。色んなことをしながら現在都内の広告代理店勤務。

こんな本にも載ってます。
http://amzn.to/b01Jqt

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→2010チュニジア/モロッコ
→GO for Afghanistan
→最後の行軍
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最後の行軍・其の弐

洗濯物はグルグル回っていた。ジーンズもスカートも背広も一緒に投げ込まれて。そしてそれはたまたまそこに洗濯機があったからに過ぎない。あとは、こっそり漂白剤を投げ込むだけでいいのだ。真っ白になればいいんだ。全部。

僕がバンコクに来るときはいつも、うだるような暑さが僕を苦しめ、同時に僕の顔にどうしようもない笑顔をくれる。僕はずっとそう思っていた。今回、バンコクにはもう6日もいる。でも、僕は以前ほど笑ったり、怒ったりする事は無い。それは、たった30℃という低い気温のせいだけだとは、どうあがいても考えられなかった。

朝、目を覚まし冷たいシャワーを浴びて着替え、シェークとパッタイを買い、道端に座って食べ、一服する。これがカオサンでの僕の朝の日課だ。1ドル弱という安いタバコから吐き出した煙は、粗悪な匂いに似つかわしく、粗悪な態で流れていく。僕はその煙を目で追いながら、倦怠感に満ちたカオサンの一部になっている自分をせせら笑って、ホコリのついた尻をはたいて立った。そんな僕の頭では、エレカシの「風に吹かれて」が流れていた。

風に吹かれて は、ネットカフェに着いても鳴り止まなかった。このリフレインを誰か止めてくれないか。言葉にならない言葉を口でつぶやいていると、本当に偶然に、嬉しいことが起こった。以前電話したけど繋がらなかった人から返信があったのだ。僕はその人に電話して、声を聞いた。ほんの五分かそこいらの出来事だった。それだけだった。愛していると言ったわけでも、やはり好きだと言われたわけでもなかった。僕達の関係は何でもなかった。でも、それだけで、充分だった。僕には、それだけで、充分すぎるほど充分だった。

いつの間にか、頭の中の音楽は鳴り止んでいた。
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by g999er | 2006-12-23 19:35 | →最後の行軍

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